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『ハッピーな日々』の稽古場から ーあるイントロダクションとしてー

・ドラマトゥルクとして 『ハッピーな日々』でドラマトゥルクを担当した前原拓也です。最近、ドラマトゥルクは演出家を中心とした各セクションに決断をさせる仕事だと考えるようになってきました。 稽古場で、演出家は役者とともに一つのシーンを立ち上げます。 ドラマトゥルクはそのシーンが立ち上がるのを見て、目の前に立ち上がったシーンと、戯曲自身が本来求めている(であろう)読まれ方を対比させ、それでも今の方法を選ぶのか、それともまた第三の道を探すのか、彼らに決断を促します。 とかく稽古場では演出家のイメージで閉鎖的になってしまいがちですが、ドラマトゥルクがいることによって、稽古場と世界を繋げる「すきま風」を通していくような、少し大仰ですがそんな気がしています。 ・決断の連続 『ハッピーな日々』において、ベケットはヒステリックなまでにト書きを書いています。冒頭の一例を挙げるとこんな感じ。 「(間。頭をまっすぐに戻し、前を見つめる。間。胸の前で手を組み、目を閉じる。聞こえない祈りで唇が動く、一〇秒ほど。唇、とまる。手は組んだまま。小声で)」 ここまで動きが固められていて、演出家の仕事をする余地がどこにあるのか。 初めは演出の蜂巣さんともそう話していましたが、実際の稽古では決断しなければならないことの連続でした。 どこに当てているか分からない感嘆詞や、急に話を分断するようなウィニーの話し方、何を思っているのか分からない空っぽな言葉など(作中のいろいろな言葉について、解釈が開かれた形になっているのは、長島確さんの新訳の力が大きいです)ベケットの文体は、一見言葉と動きが精緻に固められているようですが、実

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